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【室町時代の絵画】水墨画が盛んでやまと絵も発展!

雪舟の水墨画_慧可断臂図(えかだんぴず)

今回は室町時代(西暦1336年〜1568年)の絵画の流行や有名な絵画、画家、その時代背景などをお話していきます。

ざっくり解説!室町時代の絵画のポイント

室町幕府が開かれたのは京都。室町時代の京都は、日本の政治・経済・文化など全ての中心となりました。そして、平安時代以降、京都に温存されてきた古典文化が復活することになり「室町やまと絵」が誕生します。
平安時代については「【平安時代絵画】日本美術の基礎が形成された時代」をご覧ください。

また、中国(明)との日明貿易が盛んになり、中国の美術品が日本に数多く流入しました。
その美術品は唐物(からもの)と呼ばれ、将軍家や権力者にとても好まれました。中でも墨の濃淡で描く『水墨画』は人気が高く、盛んに制作されたそうです。

では、室町時代の絵画の代表作品や画家についてお話していきますね。

室町時代の水墨画

ダイナミックな画風を確立させた雪舟(せっしゅう)の水墨画!

室町時代の代表的な画家といえば雪舟です!雪舟は現在の岡山県生まれ、幼いときは地元の寺に預けられていました。絵が得意だった雪舟は京都で絵を学びます。しかし雪舟の画風はなかなか受け入れられず、有名になることができませんでした。

転機となったのは、西国の大名大内氏の誘いで山口に拠点を移してからでした。大内氏のもとで遣明使として明に渡り、本場の水墨画に触れて大きな自信をつけました。

雪舟の魅力はダイナミックな線や造形が生み出す、力強さにあります。見たままを描くのではなく、自分で構成し直して描いたりする画風が、独特の迫力や奥行きを生みました。
生前から徐々に名声が高まり「画聖」とまで呼ばれるようになりました。

そんな雪舟の代表作はこちらとなります。

慧可断臂図(えかだんぴず)

雪舟の水墨画_慧可断臂図(えかだんぴず)
慧可断臂図(えかだんぴず)

禅宗の始祖・達磨が座禅してるところに、慧可(えか)が弟子入りを申し入れに来た場面です。慧可は、決意をアピールするために、切り落とした左腕を差し出しています。

雪舟の水墨画_山水長巻(さんすいちょうかん)

雪舟の水墨画_山水長巻(さんすいちょうかん)
山水長巻(さんすいちょうかん)

約16mの大作です。春夏秋冬の山川の風景と、そこに生きる人々を描いています。
大内氏の治世を祝うために、雪舟自ら企画し献上した作品。

ユーモアあふれる画風「雪村」の水墨画

雪村(せっそん)は、現在の茨城県に生まれます。武家の生まれでしたが、禅僧となり。生涯を関東周辺で暮らした水墨画家です。雪舟に強い憧れを持ち、慕っていたとされています。のびやかでユーモア溢れる画風が特徴です。

雪村の水墨画_呂洞賓図(りょどうひんず)

呂洞賓図(りょどうひんず)
呂洞賓図(りょどうひんず)

呂洞賓は、唐の時代に生まれたとされている仙人です。悪政に苦しむ人々を助ける話がいくつも伝わる人気のある仙人です。墨の濃淡や線の太さに大胆な変化をつけ、凄まじい風の動きや、登る龍など、雪村らしいダイナミックな表現の作品です。

室町時代のやまと絵や絵巻

日月四季山水図屏風(じつげつしきさんすいずびょうぶ)

日月四季山水図屏風(じつげつしきさんすいずびょうぶ)
日月四季山水図屏風(じつげつしきさんすいずびょうぶ)

日本的な自然や宇宙感を表現しているやまと屏風絵です。作者不明です。
右隻には春、夏の季節、左隻には秋、冬の季節が描かれています。2つならべてみると、四季が円環にまわっています。太陽が金箔で、月が銀箔で描かれており、より作品を魅力的にしていま

大仙院障壁画(だいせんいんしょうへきが)

大仙院障壁画(だいせんいんしょうへきが)
大仙院障壁画(だいせんいんしょうへきが)

漢画とやまと絵の影響がみられる、漢画とやまと絵を融合させた新様式といえる絵です。
狩野派のスタイルを確立した一作となっています。

つきしま(築島物語絵巻)

つきしま(築島物語絵巻)
つきしま(築島物語絵巻)

人工島を作るために山から土を運び、海の埋め立て作業をする場面を描いた絵巻です。
ヘタウマとも言える絵ですが、素朴で味わい深い絵です。室町時代後期には、こういったゆるい画風の絵巻も多く作られ、幅広い階層の人々が楽しみました。

まとめ

室町時代は、水墨画が盛んになったり、やまと絵も新しい表現に発展するなど、画家達に大きな影響を与えた時代だったようです。
15世期後半に応仁の乱で京都が荒廃すると、画家達は京都から地方に移り始め、文化は地方に広がり始めました。