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【鎌倉時代の絵画】武家社会が始まり写実的で現実的な表現が流行

伝源頼朝像
伝源頼朝像

画家のナオトです。
今回は鎌倉時代(西暦1185年〜1333年)の絵画の流行や有名な絵画、画家、その時代背景などをお話していきたいと思います。

ざっくり解説!鎌倉時代と絵画のポイント

鎌倉時代は、源頼朝によって武家政権が確立され、武士による新しい文化が築き上げられていった時代です。

平安時代の表現もさらに深まる中、絵画、仏像共に、武士の好みに合った現実的で写実的な表現が追求されるようになり流行りました。
ありのままを写すリアルな表現は、美術の素養を持たない武士や庶民にも、その良さが明確に伝わったためです。

特に写実的な肖像画は、この時代の一大ジャンルだったようで、リアルなものが盛んに制作されました。代表的なものは、貴族たちが自らの特徴を描かせた似絵(にせえ)、禅宗の祖師を描く頂相(ちんぞう)などがあります。

鎌倉時代の有名な絵画

来迎図

来迎図は、阿弥陀如来が往生者を迎えにくる場面を描いた絵画です。来迎図の多くは、阿弥陀如来が菩薩を従えています。菩薩が楽器を演奏していたり、踊っていたり、賑やかで煌びやかな印象を与えます。

阿弥陀二十五菩薩来迎図(あみだにじゅうごぼさつらいごうず)
阿弥陀二十五菩薩来迎図

垂迹美術(すいじゃくびじゅつ)

垂迹とは、仏の仮の姿のことです。この時代、本地垂迹説という、日本古来の神々は、日本人を救うために現れた仏の仮の姿、という思想が流行りました。
それを現すための絵画や像が盛んに制作されたのですが、それが垂迹美術です。

明恵上人樹上座禅像(みょうえしょうにんじゅじょうざぜんぞう)
明恵上人樹上座禅像(みょうえしょうにんじゅじょうざぜんぞう)

六道絵

六道とは、人間が輪廻転生することになる6つの世界(地獄道、餓鬼道、畜生道、阿修羅道、人道、天道)のことです。
生前の行いによって、どの世界へいくかが決まります。その教えを説明する「絵解き」や、煩悩を捨てて修行に励むために、描かれた絵画だと言われています。

九相図(六道絵のうち人道の様子)
九相図(六道絵のうち人道の様子)

平治物語絵巻

1159年(平治元年)に東京で起こった『平治の乱』をもとにした軍記物語を、絵画にしたものです。この絵巻は、平治の乱の発端となったクーデターのシーンです。炎や戦闘の様子がリアルに描かれています。

平氏物語絵巻
平氏物語絵巻

明恵上人樹上座禅像

頂相(ちんぞう)といって、宗派の祖や師の肖像画のことをいいます。その宗派の教えを受けた証として、師が自ら言葉を墨書きし、弟子に与えたものです。写実的に描かれており、とても敬われました。

明恵上人樹上座禅像(みょうえしょうにんじゅじょうざぜんぞう)
明恵上人樹上座禅像(みょうえしょうにんじゅじょうざぜんぞう)

伝源頼朝像

写実的に描かれた顔なか、平面的に描かれた身体強い存在感を放つ、ほぼ等身大に描かれた肖像画です。源頼朝とされていますが、いつ誰が誰を描いたのか、はっきりとした結論は出ていない状況です。

伝源頼朝像
伝源頼朝像

まとめ

鎌倉時代の絵画、いかがでしたか?
どのジャンルの作品も、現実的で写実的な表現が取り入れられていることが分かると思います!

雲や炎の表現も、鎌倉時代に入るとぐっと躍動感が増してきているなと感じます!
僕はこの時代の絵はすごく好きです。

ではではこの辺で!
次は室町時代についてお話ししていきますね。